国勢調査あれこれ(1) 回答率

国勢調査は日本の調査の最高峰

長年市場調査の仕事をしてきたせいもあり、わたしは「調査」と名の付くものが好きだ。特に国勢調査は、ご本人が「最高峰の調査」と自称している通り、日本最大規模の調査であることから、関心がある。だいたいが、該当者全員が回答するという悉皆調査というものはめったにお目にかかれない。まさに調査の王様だ。

9月からはじまった国勢調査は10月8日が回答期限。現在督促などを行っており、回収が続いている。
わたしの印象では今回の国勢調査では「詐欺」が話題になっていたように思える。ちなみに5年前の前回はコロナだったので、「非対面」が話題(体感値)。
国勢調査をかたる詐欺メールが多く発信されているようで国や自治体でも注意を喚起している。国民生活センターや警察庁ではうっかり詐欺メールを開いて回答してしまった人の相談窓口も記載されている。

総務省統計局の国勢調査のサイト
https://www.kokusei2025.go.jp/caution

国民生活センターの注意喚起
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20250902_1.html

警察庁の注意喚起
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/250916/01.html

回答率と聞き取り調査

下記のグラフは国勢調査の聞き取り調査の割合の推移だ。国勢調査は回収できない場合は調査員が近隣の人に聞き取り調査を実施する。この逆が直接の回答率ということになる。直接の回答率は年々下がっているのだ。
今となっては2000年の1.7%が驚異的な数字に思える。そんなにみんなちゃんと回答していたのか。


参考までに、この聞き取り調査の根拠を示すと、国勢調査には「国勢調査令」という政令があり、この9条2項には次のように定められている。

国勢調査令 9条2項
世帯員の不在等の事由により前項各号に掲げる方法による調査を行うことができないときは、国勢調査員等が取集等期間内において第五条第一号イ及びロ並びに第二号イ、ロ及びニに掲げる事項を当該世帯の世帯員以外の者に質問し、これに基づいて調査票に記入する方法により国勢調査を行うことができる。


国の最高峰の調査のはずなのに回収できない割合が増えているという課題は多くの人が認識しており、あちこちでいろいろなレベルの提言がされている。
なにしろ対象者が日本に住む全員なので、誰でも自分ごととして疑問や工夫を思いつくのだ。大勢の参加意識を高められるのも規模が大きい調査ならではだ。
そして、前回の国勢調査と同じく、今回の調査も国の有識者会議で話し合われて次回に向けて調査方法などが検討されていくのだろう。

調査ではインターネットでの回答を呼び掛けていたが、目標値にはいかないかも、といったようなことを先日新聞で読んだ。これは推測だが、国勢調査に限らず「ネット詐欺」といった言葉に日常的に触れる機会が多いので、回答者の一部はネット回答を警戒したのも要因ではないかと思う。アナログの郵便の方が、知らないサイトに誘導されるより安全と考えたのではないだろうか。インターネット回答しても安全ですよ、と伝えるにはどうしたらよいのだろうか。

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