公開情報だけで「市場の正体」がどこまでわかるか?得られる結果と限界を知る技術

前回は、無料・有料の「公開情報」をどこで探すべきかについてお話ししました。
次のステップは、集めた情報から「何がわかるのか」を整理することです。市場の大きさ、ライバルの動き、そして自分には見えていない「空白の領域」はどこか……。
30年の実務経験から言えるのは、公開情報だけで100%満足できる結果は得られないということです。しかし、その「限界」を知ることで、次にすべき調査(アンケートやヒアリング)の精度は劇的に上がります。
今回は、具体例として「自転車店」のケースを交えながら、公開情報収集で得られる結果の「光と影」を解説します。

公開情報収集で手に入る「4つの基本セット」

公開情報収集では、あなたのビジネスアイデアの製品・サービスに関連する

  1. 市場環境
  2. 市場規模
  3. 競合企業動向
  4. 顧客動向

といった情報を収集することができる。

ただし、あなたのビジネスアイデアが既にある製品・サービス市場のものかそうでないかによって入手できる情報量や推計しなければならない内容は異なる。

【事例解説】身近なビジネスなら「既存データ」でここまでわかる

仮に、あなたが起業したいと思っているビジネスが、街中の自転車店だとする。自転車店というのはよくある業態なので、市場規模や市場環境については既に関連団体や民間企業の市場調査レポートがでているかもしれない。ターゲットを絞って中高年向け自転車専門店とすると、市場調査レポートに加えて既にある人口などの統計データを収集・整理することで、市場規模推計できるだろう。周辺の店舗を競合とするならばGoogleMapなどの地図サービスを活用したり、街中を歩いてみたりするとどんな店舗かわかる。また、インターネットや自転車専門誌には顧客のアンケート結果も掲載されている可能性がある。

プロが教える「公開情報の限界」と次への備え

公開情報だけでは得られない「3つの情報」

逆になかなか公開情報収取だけでは得にくいのは、下記のような情報である。

  1. 特定の製品・サービスの顧客の受容性や満足度
  2. 機密情報
  3. 既存の製品・サービスが全くないビジネスアイデアの場合の市場規模・市場動向

あなたのビジネスアイデアの製品・サービスついて具体的な評価を知るには、アンケート調査やヒアリング調査といった別な調査方法を組み合わせる必要がある。
競合他社の売上や組織構成といった情報は機密である場合が多い。機密情報を盗み出す産業スパイのような活動は不正競争防止法で禁じられている。しかし、市場調査では競合の動向や売上情報が必要な場合はある。この場合は公表情報だけでなく周辺の関係者ヒアリングやアンケート等から推定するしかないだろう。

前例のない「革新的ビジネス」はどう推計すべきか?

既存の製品・サービスが全くない革新的なビジネスアイデアの場合、市場規模を推計するのは難しい。今ある統計情報をベースに、アンケートやヒアリング調査を組み合わせる必要がある。この場合、ターゲットとなる顧客層を調査の対象にするだけでなく、類似業界の有識者や事業者へのヒアリングを実施することもお勧めする。また、他の革新的なアイデアのビジネスの成り立ちの情報を収集・分析することで、仮に同じ道筋をたどったら、というような市場規模推計もできるだろう。

まとめ:情報の不足分は「アンケート・ヒアリング」で補おう

公開情報は手軽で便利に収集できる。さらに手間をかけずにやろうと思えばできる。しかし、ビジネスが独創的であればあるほど、関連情報はえにくい。あなたの独創的なアイデアのビジネスに需要がある・競争力がある、と説得するためには、情報の不足をアンケートやヒアリングなど多少手間と費用がかかる方法を使って補う必要がある。

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